経済危機の名前 2009 1 25

書名 早わかりサブプライム不況
著者 中空 麻奈  朝日新書

 この度の金融危機と世界同時不況を何と呼ぶのか。
それを考えていたのです。
この危機には、いくつもの原因があります。
サブプライムローン、証券化、CDO、格付け、CDS。
だから、この経済危機に名前をつけるとすると、
難しいかもしれません。
 さて、こうしたキーワードを丁寧に解説しているのが、
本書と言えるでしょう。
 あるいは2007年ごろから始まった危機を時系列に並べて、
丁寧に説明しているとも言えるでしょう。
文章には、女性らしい「丁寧な筆運び」を感じます。
 同時に、「はじめに」では、
日本人の著者は、たいてい編集者だけに感謝して終わりますが、
この本では、「両親、息子たち、夫」にまで言及しているところに、
著者の家族愛というものを感じます。
 さて、著者は、本書の終章で、こう提案しています。
「日本ブランドの証券化商品を作れ」と。
 この度の危機で、証券化商品は、すっかり悪者になってしまいました。
しかし、証券化という手法は、素晴らしい金融技術だと思っています。
 ただ、現在は、証券化と聞いただけで、投資家は逃げてしまう状況になっています。
そこで、日本ブランドの証券化商品を作るのもよいかもしれません。
 高品質で高性能な日本車のイメージで、
あるいはデジタル家電のイメージで、
日本ブランドの証券化商品を作れば、なんとか証券化商品が回復するかもしれません。

証券化の是非 2008 9 28
 最近、証券化という手法は、まるで諸悪の根源のように言われています。
たとえば、証券化の魔術とか、あるいは魔法と呼ぶ人もいます。
 しかしながら、証券化技術そのものは、優れた金融技術だと考えています。
金融技術の成果として、証券化技術は歴史に残ると思います。
これは、金融史において、革命的な技術として記憶されるでしょう。
 しかし、証券化に問題点があるとすれば、
おそらく、それは、唯一の問題点ですが、
元利返済に延滞が生じた時です。
つまり、債務不履行が発生した時です。
 こうした問題が発生した時、
証券化によって、債権者と債務者が分断されていますので、
あるいは、切り離されてしまっているので、
見事に証券化の欠点が露呈すると思います。
 そういうわけで、証券化する債権は、優良債権に限定すべきだったのです。
しかし、現実には、信用力が低いサブプライムローンまで証券化してしまったのです。
 こうした優れた金融技術が、
サブプライムローン問題によって、評判が悪くなり、
人々から忌み嫌われてしまうことになるのは、誠に残念です。

















































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